国際バカロレア(IB)情報
2026.10.20
帰国子女の英語力を伸ばす学習法|IB校でも通用する英語力の作り方

海外で身につけた子どもの英語力を、帰国後も保ち、さらに伸ばしていくにはどうすればよいか。帰国を控えた家庭や帰国したばかりの家庭の多くが向き合うテーマです。この記事では、帰国後に英語力が伸び悩みやすい理由と具体的な学習法、英語資格の目安、そしてIB校でも通用する英語力の身につけ方を解説します。
1. 帰国子女とは
「帰国子女」は、親の仕事などの都合で、継続して1年以上海外に滞在し、日本に帰国した子どもを指す言葉です。
総務省統計局では、「帰国児童生徒」と表現されており、「海外勤務者などの子どもで、引き続き1年を超える期間海外に在留し、前年4月1日からその年の3月31日までの間に帰国した児童生徒」と定められています。
一方、学校の帰国生入試などでは、海外での在留期間や帰国からの年数などについて学校ごとに独自の条件が設けられていることがあります。
2. 帰国後に英語力が伸び悩みやすい理由
帰国後に英語力が伸び悩む大きな理由は、英語を使う機会が急に減ることです。海外では授業も友人との会話も英語だった子どもが、日本では日常のほとんどを日本語で過ごすようになります。
この影響は、英語力のすべてに同じように表れるわけではありません。ここで知っておきたいのが、「会話の英語」と「学習の英語」の違いです。言語教育研究者のジム・カミンズ氏は、日常会話に必要な言語力と、授業で教科を学ぶための学習言語能力を区別しました。カミンズ氏の研究などによると、第二言語の日常会話はおよそ2年程度で身につく一方、学習言語能力が同年代のネイティブと同じ水準に達するには5〜7年ほどかかるとされています。
海外滞在期間が比較的短い場合、会話は流暢でも、抽象的な内容を読み書きする力はまだ発達の途中ということがあります。その段階で英語に触れる機会が減ると、特に読み書きの力が伸びにくくなります。
3. 英語力を維持・伸ばすための方法
帰国後の英語力を保つには、英語に触れる時間を意識的に確保することが基本です。次の3つを組み合わせると効果的です。
1つ目:英語の本を読む習慣
年齢や興味に合った本を継続的に読むことは、語彙力や読解力を保つうえで役立ちます。学習言語能力を伸ばすには、物語だけでなく、科学や歴史などノンフィクションも取り入れるのがおすすめです。
2つ目:英語で書く機会をつくること
帰国後は、会話よりも「書く力」のほうが落ちやすい傾向があります。日記や読んだ本の感想、身近なテーマについての意見文など、まとまった文章を書く練習を続けると、将来のエッセイや論文にもつながります。
3つ目:英語で話し、議論する場を持つこと
オンラインでネイティブ講師と話す、英語で行われる課外活動に参加するなど、アウトプットの機会を定期的に設けると、英語を使う感覚を保ちやすくなります。
あわせて、英語資格の取得を目標にすると、学習のペースをつくりやすくなります。
4. 英語資格の目安
英語力を客観的に測る指標として、国際的な基準である「CEFR(セファール、ヨーロッパ言語共通参照枠)」があります。CEFRは言語の熟達度をA1からC2までの6段階で示すもので、文部科学省が示した各資格・検定試験との対照表によると、実用英語技能検定(英検)では2級がB1、準1級がB2、1級がC1に対応しています。
帰国子女の場合、日常会話の力に比べて、語彙や読解・作文で差がつきやすいことがあります。資格試験の結果から、得意な技能と伸ばしたい技能を把握しておくと、帰国後の学習計画を立てやすくなります。
英語資格は、学習計画の指標になるだけでなく、帰国生の入試でも確認される場合があります。そのため、帰国後の早い段階で受験しておくと、進路の選択肢を広げやすくなります。ただし扱いは入試によって異なり、出願条件にしている学校もあれば、得点換算や加点に使う学校もあります。
5. 英語力を生かせる進路の選択肢
帰国子女の英語力を生かせる進路には、いくつかの選択肢があります。
1つ目:帰国生入試を行う中学校・高校・大学への進学
英語での面接やエッセイを課す学校もあり、海外での経験を評価してもらいやすい入試です。
2つ目:インターナショナルスクール
英語で学び続けられる環境ですが、多くは学校教育法上の一条校ではないため、日本の学校への進学を考える場合は出願資格の扱いに注意が必要です。
3つ目:国際バカロレア(IB)の認定校
高校段階のDP(ディプロマ・プログラム)は、原則として英語・フランス語・スペイン語で行われます。一部の科目を日本語で学べる日本語DPでも、6科目のうち2科目は英語などで履修するため、英語力を生かしながら日本語での学びも両立できます。
国内のIB認定校は、こちらの記事で紹介しています。
入試制度や出願条件は学校や年度によって異なるため、志望校の公式サイトや説明会で最新情報を確認することをおすすめします。
6. IB校で求められる英語力と対策
IB校、特にDP(ディプロマ・プログラム)で求められるのは、日常会話の力よりも、英語で考え、論じ、書く力です。DPの授業と試験は原則として英語などで行われ、一部の科目を日本語で学べる日本語DPでも、6科目のうち2科目は英語などで履修します。各科目のエッセイに加えて、英語なら4,000語でまとめる課題論文(EE)や、TOKのエッセイにも取り組みます。
帰国子女は聞く・話す力に強みがある一方で、アカデミックな文章の構成や論理の展開には練習が必要なことも少なくありません。対策としては、次の2つが効果的です。
帰国後の早い段階からこうした練習を積んでおくと、IB校での学びにスムーズにつなげられます。IB校の高校段階で学ぶDPについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
よくある質問
まとめ
帰国後の英語力は、使う機会が減ることで伸び悩みやすく、特に読み書きの学習言語能力は時間をかけて育てる必要があります。読む・書く・話す機会を意識的に確保し、資格試験を目標にしながら、英語力を生かせる進路を早めに検討していきましょう。
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